03.30
【テクニカルコラム】~第4回バッテリー~ 取り扱い編
【テクニカルコラム・用語解説とロボット技術から見たドローンの未来】 ~第4回バッテリー~ 取り扱い編
こんにちは!ロボットエンジニアの引間奈緒子です。今回はドローンやロボットに使用されるバッテリー、リチウムポリマーバッテリーの取扱方法や危険性に関してお話ししたいと思います。
ドローンに搭載されているバッテリーは主にリチウムポリマーバッテリー【通称:リポ。Li-Po】です。私が製作している小型ヒューマノイドロボットも同じで、Li-PoまたはLi-Fe(リチウムフェライト)を使用しています。
■Li-Po リチウムポリマーバッテリー
Li-Poバッテリーを使うメリットとして下記が挙げられています。
1.電圧が高いためサーボのパワーが出やすい。
2.エネルギー密度が高いため軽量で容量の高いバッテリーを作れる。
3.メモリー効果がないため放電をしなくても充電ができる。
ただし、取り扱いが難しく、不適切な使用方法をおこなうと危険なバッテリーでもあります。
■過放電に注意!
Li-Poは過放電(基準値よりも電圧を下げてしまうこと)をおこなうとぷっくりと膨らんできます。
一般的にLi-Poは1セルあたり3.0Vを下回ると過放電となると言われています。(諸説あり。2.6Vとも言われています。が、経験上、3.0Vを下回るとほとんど膨らみますね…)
電圧は急にモーターの出力を高めたりすると瞬間的に大きく下がることもあるため、その際の余裕をみて私が製作しているロボットの場合は1セルあたり3.3Vを下回ったら、電圧が低下したことを知らせるようにロボットの頭を横に振って「もう動けません」といったような動きをするように工夫しています。
■これは便利!「バッテリーチェッカー」
バッテリーの電圧や状態を見るにはこれが重宝します。(KYOSHO マルチバッテリーチェッカー)あらゆる種類のLi-Po/Li-Fe(1~7セル))、受信機用Ni-Cd/Ni-MH(4~8セル)に対応していて、バランス端子ケーブルを接続し計測します。もし、端子が合わない場合には別売りのバッテリー変換ケーブルを使用することも可能です。
■Li-Po充電中の火災も実際に発生している!
(東京消防庁HPより http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kouhouka/pdf/250523.pdf)
東京消防庁が「模型用のリチウムポリマー電池の不適切な充電による火災の危険性」ということでこちらの動画をアップしています。こちらは模型用のLi-Poを充電電池の仕様とは異なる方法で充電した場合の火災の危険性を再現した実験映像です。
http://str02.tfd.metro.tokyo.jp/wmdata/lithium.wmv
このように、Li-Poは取り扱いを間違えると家一軒燃やしてしまうほど非常に危険なバッテリーです。充電方法を間違えた場合以外にも、過放電を繰り返しバッテリーが膨らんだり変形しているものなどを充電した場合も発火の原因になることがあります。充電は必ず周りに可燃物がなく常に監視できる場所でおこない、充電中の外出および就寝は絶対におこなわないように気を付けましょう。
必要以上に怖がる必要はありませんが、楽しいドローンライフを送るためにも、火災の原因にもなりうるバッテリーだということを十分に理解し、注意を払って使用することが一番大切だと私は思います。
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