2016
03.03

【テクニカルコラム】~第3回バッテリー~ 機内持込編

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【テクニカルコラム・用語解説とロボット技術から見たドローンの未来】 ~第3回バッテリー~ 機内持込編

 

こんにちは!ロボットエンジニアの引間奈緒子です。今回はドローンやロボットに使用されるバッテリーに関して数回にわたりお話ししたいと思います。

バッテリー編

ドローンに搭載されているバッテリーは主にリチウムポリマーバッテリー【通称:リポ。Li-Po】です。私が製作している小型ヒューマノイドロボットも同じで、Li-PoまたはLi-Fe(リチウムフェライト)を使用しています。最近は性能や生産品質が上がりそこまで言われなくなりましたが、このLi-Poは取り扱いが難しいバッテリーだとよく言われています。なぜなら、過放電や過充電、過度な変形をおこなうと火柱を上げて炎上するのです。そのため、規制も厳しくなっています。

 

■ドローン持参で飛行機に乗るときは注意

ドローンも同じかと思いますが、ロボットを持参で飛行機に乗る際、よく議論されるのは機体とバッテリーを「預け入れ荷物」or「機内手荷物」どちらにするかという問題です。これは今まではあまりにも大きいバッテリーでない限りは明確な規制はなく、その航空会社によって異なるということが実情でした。ですが、バッテリーに関しては2016年4月から、その規制がより徹底されることが発表になりました。(機体本体(バッテリー以外)はどちらでも特に問題ありません。)

 

■バッテリーは必ず「手荷物」で

ICAO(国際民間航空機関)は2月22日に「旅客機における貨物室内でのリチウムイオンバッテリーの運送の禁止」を発表しました。リチウムイオンバッテリーに関してのみの発表で、ドローンに搭載する「リチウムポリマー」に関して明言はありませんが、同じものとして扱われるでしょう。これにより、ドローンのバッテリーも2016年4月からは預け入れ荷物ではなく、手荷物で持ち込むことが規制されますので、ご注意ください。私の個人的な見解ですが、貨物室内で万が一発火した場合、消火活動に遅延が生じる可能性がありますが、客室内であればすぐに異変に気付きます。今回の規制はそのための対処なのではないでしょうか。逆を言えば、皆さんが持ち込むバッテリーは危険なものと認識されていますので、その注意喚起をしっかりと受け止めひとりひとりが注意していきましょう。
(参考資料:)
ICAO COUNCIL PROHIBITS LITHIUM-ION CARGO SHIPMENTS ON PASSENGER AIRCRAFT

 

■〈余談〉爆弾犯と勘違いされた話

私も仕事でロボットを持って国内および海外に行きますが、ロボット自体はあまり不審物扱いされることはなく「ロボットエンジニア」だと言えばむしろ「動くところが見たい!」なんて言われることもあり、バッテリーに関しても5~10年前はあまり規制されませんでした。ですが近年は注意(チェック)を受けることが多々見受けられるようになりました。
以前、福岡へ飛行機で行ったときの話です。ドローンも同じだと思いますが、予備バッテリーを多数持ち運びますよね。このとき、私のたまにしか出ない几帳面な性格がたまたまこのときは出て、キレイに並べて不燃袋に入れ手荷物のバッグに入れて搭乗しようとしました。 すると。。。 バッテリーが入った私のバッグ。。。 手荷物検査のX線画像越しに見ると、これがまたバッテリーがキレイに並んでダイナマイトのように見えるわけですよ。。。 検査官も一瞬、ギョッとした表情でこちらを見ていました。。。 案の定、再度中身をチェックされ、いろいろ聞かれました… でも、持ち込めないバッテリーの基準と照合し大丈夫なバッテリーだとわかればすぐに話は解決しますのでご安心を。
このとき、私はLi-Poを持ち込むときはキレイに並べずざっと袋に入れるくらいが怪しまれない、ということを学びましたね(笑)

 

リポガード セーフティーバッグ LIPO GUARD リポバッテリー用

リポガード セーフティーバッグ LIPO GUARD リポバッテリー用

 

ちなみに、Li-Poを入れる袋はこれを愛用しています。ラジコン屋さんなどで販売しています。不燃性の生地でできた袋なので、万が一、中で発火しても燃え広がらない仕様になっています。

皆さんも万が一のことにならないためにバッテリーの取り扱いにはご注意下さい!
次回はLi-Poの特性についてもう少しお話ししていきます。では、また。

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引間 奈緒子
テディベアロボットをはじめとした小型二足歩行ロボットの設計・加工・開発をおこなう数少ない女性ロボットエンジニアとして活躍するメカオタク。二足歩行ロボットキット日本国内No.1シェアのロボットメーカー近藤科学株式会社(KONDO/KO PROPO)での勤務を経て2013年独立「naoko-robot」を開業。ぬいぐるみを着たロボットの製作に特化し、自治体や企業のマスコットロボットをオーダーメイドで製作している。 代表作は「いくま」「くまたろう」「トーイ」 趣味はプロレス観戦と自衛隊イベント巡り。好きな航空機:固定翼はUS-2、回転翼はCH-47。