2017
04.27

「アメリカでの商用ライセンスの取得の方法」 FAA UAS パイロットが説明!!

ニュース

こんにちは、Danです。

先日、各国の法整備が進んできていて、特にカナダでは他の国よりも厳しい規制が課せられたニュースをご紹介しましたね。

アメリカでは、2016年6月からにドローンに関するRegulation(FAR part107)がリリースされました。

これによって、①ドローンを趣味で飛行させる場合(flying for fun)、または②商用運航させる場合(flying for work or business)で法律の適用が、完全に分けられるようになっています。

以前、ここJDMでも、もしみなさんがハワイに旅行に行って、思い出に景色を撮りたい!と思った時、「flying for fun」と言うルールの元で、何を準備して、何を守らなければならないかをお話ししましたね!

そして、最近では、日本の産業界でも海外でドローンを使った企業活動をする会社も出てきました。

そこで、ドローンパイロットの中でも、

「クライアントのためにアメリカで飛ばそうと思ってるんだけど、どうしたらいい?」

「日本とアメリカは、そもそも何が違うの?」

と言った話も聞かれるようになりました。

と言うことで今回は、flying for funともう一つのアメリカでビジネス目的のドローンを飛ばす場合(flying for work or business)についてみなさんと共有したいと思います。

もし、皆さんがアメリカでの空撮の依頼を受けたとしましょう。

さて、あの広大な土地を舞台に素晴らしい空撮を!
機体の登録も済ませたし、飛行のルールもバッチリ!

 

さぁ、出発しましょう!

、、、と言う訳には実は行かないんです。

 

そうです。
米国では、対価を得てドローンを飛行させる商用運行には、国家資格であるパイロットライセンス(FAA UAS certificate)の取得が義務付けられていました!

残念ながら、日本のクライアントから依頼を受けた場合でも、アメリカで商業運航にはこのライセンスからは逃れることができません。。

と言うことで、今回はこの商用運行の際に必要になるライセンスの取得の方法を少しご紹介してみたいと思います。

すぐに取得が可能かと言うと、少し時間が必要になってしまうのは現実なところですが、みなさんがもし、いつかビジネス拡大のために取得したいと思った時の参考になればと思います。

取得の方法は、大きく分けて二つです。

① Part107による取得(新規にUASライセンスのみを取得する場合)

まず、part107とは、ドローンを対象とした法律のことで、実機パイロットライセンスの取得者ではなく、まったく初めてUASパイロットとしてライセンスを取得する場合です。

このライセンス取得の方法は、筆記試験のみで受験可能ですが、試験内容も実機のパイロットに準じた知識が求められ、さらにFAAの指定するテストセンターで受験する必要があります。

初めてライセンスを取得する者を対象としているとは言え、難易度は高く正答率は70%以上が求められています。

 

② Part61による取得(既に実機パイロットとしてのライセンスを取得している場合)

Part61とは、実機に関する法律が整理されているもので、既に有効な実機パイロットライセンスを取得している場合にこの方法が適用されます。

この場合、パイロットはFAAのWebサイトでドローンの運用に関する講習を受講、その後、Webサイト上での確認テストを受験することでライセンスを取得することができます。

この確認テストの正答率はなんと100%!大変です。

一問も間違える事は出来ません!

でも、大丈夫です。

100%の正答率になるまで何度でも受験は可能です。

このように見ると、いずれの方法も簡単な方法ではないですよね。。

でも、なんでこんなに難しい制度が求められているかというと、アメリカの商用ドローンパイロットは、実機パイロットと同じ知識や安全に関する考え方が求められていると同時に、ドローンの運航に関する強い権限も与えられているんです。

と言うのも、この権限を「Pilot In Command(PIC)」と呼んでいて、操縦に関する責任と権限を示す言葉ですが、このPICは、実機の場合、操縦桿を握って飛行機の操縦に関する全責任を有している者の事を表しています。

つまり、実機と同じ様に、気象、空域、その他の航空機の運用、機体の状態、クルーマネージメント、その他あらゆることを総合的に判断して、ドローンを「飛ばす」「飛ばさない」と言った飛行に関する最終的決定権を持つ者とされているんです。

(写真はイメージです。)

 

特に、アメリカは、世界有数の航空大国です。

例えば空港周辺では空港を管轄する管制機関などと空域侵入の調整をする必要がありますが、調整先となる管制官との調整には、当然、航空機の運用に関する専門的知識が多く求められます。

この場合、空の共通のルールをキチン認識しているかは、安全に関する大きなポイントとなってきます。
このことから、厳しい制度が設けられた理由も納得がいきますね。
アメリカでドローンをお仕事で飛行させるには、まずUASパイロットが現場にいることが大事なポイントになります。

現在、アメリカには37,000名を越える商用UASパイロットがいると言われています。(UAS symposium 2017による)

日本人でも、2016年6月にリリースされたこの法律に基づき、導入後直ぐにUASライセンスを取得された方もいらっしゃいます。

↓FAAでは、UASパイロットを含めパイロットの情報はwebで公開されいます。↓

https://amsrvs.registry.faa.gov/airmeninquiry/

 

もし、お仕事で必要とされる場合は、状況に応じて実機のパイロットまたはアメリカの空域についての経験が大事になる場合もあります。

こう言った事から、経歴なども参考にして安全にビジネスチャンスを広げてみてはいかがでしょうか。

なお、米国では、ライセンスを保有している場合であっても、飛行が禁止されている空域、飛行の方法を超えて飛行させることはできません。この様な空域または飛行の方法を行う場合は、日本と同様に免除申請(Waivers)を行うことが出来ますが、飛行の90日前までに行うことになっています。

時間にゆとりをもって調整されることをおすすめします。

(UAS symposium2017 においてこの期間の短縮についての討論もされたようです。)

それでは、また次回もお楽しみに

Have a safe flight!

 

※重要

ここでご紹介するのは、制度の主なものです。御社またはご自身でもしっかりルールを確認し、コンプライアンスのしっかりしたパイロットまたは、会社にご依頼ください。米国連邦政府または州政府等が飛行禁止地区を設けている場所、期間があります。渡航前に必ず打ち合わせをしてください。米国連邦法またはその他法律に違反した場合は、現地法により裁かれることがあります。 ご注意ください。

参考資料 https://www.faa.gov/uas/resources/event_archive/2017_uas_symposium/media/Workshop_1_Pilot-In-Command.pdf

https://www.faa.gov/uas/

画像出典

2017 UAS symposium

FAA

Photock

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Dan

Dan

FAAパイロット、ドローンパイロット、JUIDA認定インストラクター 米国の自家用操縦ライセンスと計器飛行証明を保有、飛ぶものが好きで航空機としての興味からドローンの世界へ現在は、米国の国家資格であるドローン商用ライセンスも保有している。JDMでは、ドローンの航空機としての力学、航空気象、そして海外のドローン事情を中心に記事を提供する。