2017
04.22

航空機としてのドローン⑤ 「重さと飛行性能を考える。」

お役立ち情報

こんにちは、Danです。

 

先日、DJI社が、Phantom4の最新モデルを発表しました。

カメラ性能の向上が図られ、1インチセンサー搭載で夜間の撮影の最強の味方になりそう!

コンシューマー用ドローンでもカメラがどんどん高性能になってきましたね。

 

機体のカメラ以外でも、360度カメラも普及し軽量化されたことから、撮影のバージョンアップを図るために、様々な種類のカメラをドローンに取り付けるなどの撮影技術の向上もどんどん追及されています

そう言った映像を見るのは楽しいだけではなく、これからの技術が今後更に産業を活性化させることに期待できますね。

そこで今回は、航空機としてのドローンとして考えた時、機体への積載重量と飛行性能について皆さんと共有できたら良いなと思っています。

機体に付属しているカメラ以外のカメラを機体に装備する場合、機体の重量は、当初の設計重量よりも当然重くなりますよね!
空を飛ぶ、航空機にとって重さは非常に大事な要素の一つです。

この「重さ」と航空機の飛行性能は、どんな関係があるか、ちょっと整理してみましょう。

 

空を飛ぶ航空機、特にドローンにとって大事な重量は、2つだと考えられます。

 

  • 最大離陸重量

機体のマニュアルにも記載されているので、馴染みがあると思います。
この重量を超えると機体を離陸させるのが非常に難しくなるのは皆さんも知っていますよね。
ドローンでは、離陸重量と着陸重量はほぼ変わることが無いため、この最大離陸重量は大切なポイントです。

 

  • ペイロード

通常の航空機の場合、燃料を引いた、旅客、貨物等のお金を生み出す重量を意味します。これは、最大重量ではなく、通常の運航時に計算される重量です。
ドローンの場合、燃料はありませんが、全ての搭載機材を含んだ重さと言うことと考えることが出来ます。

 

この重量から飛行性能を考える時に大事なことは、「負荷率(Load Factor)」というものを考えなければなりません。
なんだか難しそうな言葉が出来ましたね。
説明をするとこんな感じではないでしょうか。

「移動する物体の姿勢が変わった時に、その物体の重量全体に与える力の率、、、」

 

う~ん、もう少し簡単に考えてみましょう!

 

例えば、車で高速道路から、料金所に行く途中はかなりの急カーブになっていますよね。
その時、車に乗っていると横向きに体が持って行かれそうになります。
そうすると、一生懸命シートからずれないように踏ん張ります。
そして、もし同じ速度でカーブの弧が小さくなると、体は耐えられなくなって外側に持って行かれそうになります。
これは、耐えている以上の力が体に係ったからですね。

この踏ん張る原因となっている、車のカーブに因って発生した力の量が「負荷率」です。

ドローンを含む航空機には、一定速度一定方向からの姿勢などの変化(旋回や減速、加速や減速時)を加えると必ず機体重量分の負荷率が機体に影響を与えます。

 

この負荷率は、例えば機体角度が60度傾いたとすると、なんど2倍つまり2Gと言われる重量が機体に係ることになります。

つまり、ドローンの機体重量が1kgの場合、60度の傾きが機体に加わると、機体には2kgの重量が負荷されていることになります。機体を急制動させたり、高速航行させたりするとこのような角度の深い状態になることがありますよね。

 

 

そして、機体はこの負荷に耐えることになります。

 

ドローンの場合もっともその役割を担うのが、モーターです。
仮に、モーターが耐えられる以上の負荷率がかかった場合、モーターの故障や飛行性能の著しい減少を招く可能性があり、最悪の場合は墜落の可能性も発生します。

以外と重さは、機体に影響を与えるんですね。

通常航空機は、この様な耐性重量を含めて設計と飛行重量が計算されています。
燃料で飛んでいる飛行機は、離陸時と着陸時の重量が変化しますが、ドローンの場合は離陸から着陸まで重量が変わることはほとんどありませんね。

このことから、設計重量を超えた運用を続けると、機体に係る負担は大きくなり、想定を超えた消耗を招くこともあります。

安全のためには、機体を大事にすることはとても大事な要素ですね。

そして、機体寿命を延ばすためにも、機体に搭載するカメラの重さも気にしてみてくださいね。

 

それでは、また次回もお楽しみに

 

Have a safe flight!

 

参考資料

航空実用辞典:http://www.jal.com/ja/jiten/dict/p316.html#03-05

DJI webサイト:http://www.dji.com/jp

 

画像参照

DJI

Pilot’s web

フリーピクトグラム

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Dan

Dan

FAAパイロット、ドローンパイロット、JUIDA認定インストラクター 米国の自家用操縦ライセンスと計器飛行証明を保有、飛ぶものが好きで航空機としての興味からドローンの世界へ現在は、米国の国家資格であるドローン商用ライセンスも保有している。JDMでは、ドローンの航空機としての力学、航空気象、そして海外のドローン事情を中心に記事を提供する。